HDDの寿命は大体3~5年程度というのが、よくユーザー向けに目安として案内される数字です。
一般的にHDDのような工業製品は、故障率曲線(バスタブ曲線)に従うとされています。時間経過と故障率の変化する様子を示したグラフのことで、Uの字とVの字の中間のようなバスタブ(浴槽)の断面を模した曲線になります。
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出展:バスタブ曲線(故障率曲線)とは|工業用語集|サポート情報|福田交易株式会社

初期故障期:使用開始から数か月以内の時期。最初は高い故障率が急速に下がっていきます。初期不良やそれに類する問題が部品内にある場合、それらが不具合として表面化するので開始直後は故障の可能性が特に高い時期とされています。
偶発故障期:そこから数年の時期。高い故障率はある値まで下がると、ほぼ一定になります。故障は出ても偶発的な理由によるものになり、安定稼働するようになります。いわゆる故障率というと通常はこの期間の数字で、HDDの場合では、24時間連続稼働前提で、年間故障率「AFR(Annualized Failure Rate)」が0.4%~0.9%程度とされています。
摩耗故障期:一定期間を過ぎると故障率が急激に上昇していきます。部品単位の劣化・摩耗が出始めるためとされています。この一定期間の目安が3年や5年という数字で、これがいわゆる寿命として案内される数字になります。

ただしこれらの数字はあくまでも理論値です。実測での故障率も参考になるデータがいくつか公表されています。
■BACKBLAZE
バックアップ用途に特化したオンラインストレージの会社で20万台以上のHDDの故障率などをまとめたレポートを定期的に公開してくれています。
下記が2021年の年間レポートになります。
■Backblaze Drive Stats for 2021
年間故障率を過去の推移も含めてまとめると、2019年が1.89%、2020年は0.93%、2021年は1.01%となります。大雑把にまとめると1年間使い続けると1~2%の確率で壊れるという結果で、理論値よりは若干高めになります。
そして興味深いことに、近年の傾向としては、故障率がバスタブ曲線を描かなくなったとのことです。初期故障期がなく、最初から偶発故障期で、4~6年以降から摩耗故障期となるようです。初期故障期がなくなってきたのは、おそらく部品の精度やチェック体制なども含めた品質が向上してきたためと思われます。
そして結論としては、(24時間連続稼働の場合)6年9か月を超えると2台のうち1台はほぼ故障するという分析を出しています。ただしこれらはあくまでもデータセンター内での使用で、一般ユーザーの使用環境とは大きく異なるので注意は必要です。

データレスキューセンターでは、様々な理由により故障してしまったHDDからのデータ復旧に対応しております。お困りの際はお気軽にご相談ください。
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