お客様からお問い合わせをいただく際に、「復旧率はどのくらいですか?」とのご質問をいただくことがあります。しかし、弊社では復旧率はご案内していません。なぜなら復旧率という数字は、正確にお客様にご案内ができる性質の数字ではないからです。
データ復旧業者は弊社のほかにも複数あり、中には「復旧率95%以上」などと高い数値を謳い文句にしているところもあるようです。果たして、この数値は本当に信頼に値するのでしょうか。
その答えは「疑わしい」と言わざるを得ません。そもそも、どのような状況でもデータが復旧できるものではないからです。
ご依頼をいただく媒体の障害状況は様々ですが、残念ながらどうしても復旧できない状況が存在します。
例えば、誤ってデータを削除したあとにメディアの容量いっぱいまで別のデータが保存されてしまった場合等は、過去のデータの痕跡は新しいデータによって完全に塗り潰された状態となってしまうので、復旧は不可能となってしまいます。あるいは痕跡ごと抹消するような完全削除をしてしまった場合も同様です。
また衝撃によってHDDのプラッタが粉々に砕けてしまった、SDカードが踏まれてメモリチップが割れた場合など、データが保存されているメディアそのものが大きく破損してしまうと、復旧できなくなることがあります。
■データを完全削除する方法
他にも、パスワードが必要なセキュリティ付のUSBメモリで、パスワードの入力間違いを繰り返してロックがかかってしまった場合は、情報漏洩を防ぐためにデータは完全に消去されてしまうため復旧は不可能になってしまいます。同じように、情報保護の目的で暗号化が施されているパソコンが起動しなくなってしまったような場合、複合化に必要な解除キーがあれば復旧の可能性は十分ありますが、そのキーを保存していなかった場合は暗号化の解除ができず、復旧ができなくなる場合があります。
■データ復旧が困難な障害・メディア
■データ復旧と暗号化
このように、データ復旧においてどうしても復旧ができない状況というのは存在します。弊社は海外からも含めて年間1万件を超えるご依頼をいただいているため、お客様からのご相談内容は多岐にわたります。
調査をご依頼いただく全ての件数を母数として、復旧が可能だった件数の割合を復旧率とする場合、その復旧率が90%などといった高い数値になることはあり得ません。ただし、母数を「復旧ができそうだと判断した件数」などにしてしまえば、逆に復旧率は100%に近い数値となるのです。
さらにいえば、障害の状況によっては「復旧は部分的に可能だったがご希望データが含まれていなかった」というようなケースもあります。上書きの影響でごく一部の復旧しかできない場合や、ダメージが大きく部分的な読み出ししかできないという場合す。
この場合はお客様の希望されるデータの復旧ができなかったのですから、厳密には復旧不可能とされるものです。しかしこれも「復旧には成功した」とカウントすれば、復旧率は当然高くなります。
このように、復旧率という数字は恣意的に操作ができる性質を含んでいます。そのようにして算出された高い復旧率を掲げるのは意味がないだけでなく、お客様を騙すことにも繋がります。そのため、弊社では復旧率という数字をご案内していないのです。
■日経ビジネス ぼったくりデータ復旧業者の手口
もちろん、ご依頼には全力をもって対応しており、スタッフ一同常に情報の収集と技術の研鑽に取り組んでいます。そのため、難度の高い障害状況からも復旧に至った事例は多数ございます。
万が一お困りの際は、ぜひ一度お電話にてご相談ください。