2022年2月、ロシアのウクライナへの武力侵攻が始まりました。以降、現在も戦争状態が続いています。
日本ではなかなか実感のわかない方も多いかもしれませんが、戦時下ではデータの保全も大きな課題と言えます。金融機関や学校、省庁などは一般家庭とは異なり、膨大な量のデータを保持しており、さらに情報保護の面でも非常に高度なレベルが求められています。
もちろん、そういったところは大規模なサーバーを利用しているので、職員の手元のパソコンが故障、あるいは破壊されたとしてもサーバーのデータには影響はないことがほとんどです。
しかし戦時下となると話が変わってきます。どこがいつ攻撃されるかわからないので、突然サーバーごと破壊されて、重要なデータが失われてしまう危険性が高まります。
■サーバーってなに?
ウクライナ政府は、それまで政府や関係機関のデータは国内のサーバーに保存するよう法律で定めていたのですが、このようなリスクに備え法改正なども含めてデータのクラウド化を推進し、アメリカのAWS(AmazonWebService)社がそれに応じました。
しかし政府機関等が持つデータとなると10PB(ペタバイト)近くの膨大な量になるそうです。ここまで大容量のデータになりますと、空いている時間にアップロードするというわけにはいきません。仮に1PBのデータをネットワークで転送をするだけでも数か月はかかる計算になります。
■いまさら聞けないパソコン基礎知識 > データ容量について
そこでAWSの提供する「Snowball」というサービスを利用し、部分的にオフライン上でデータの転送をすることでクラウドストレージに移行しているそうです。
「AWS Snowball」とは、専用の記憶媒体を郵送し現地でデータを保存したうえで、媒体を返送し、AWSのサーバーにアップロードするというサービスです。今回のウクライナでは、2月から対応をはじめ、戦火の中すでに数PBのデータのクラウド移行に成功したそうです。
■AWS Snowball
AWS Snowballの概要図(AWSのホームページから)