データ復旧コラム|データレスキューセンター

データレスキューセンターのスタッフによるデータ復旧コラム。PC、HDD、USBメモリ、SDカードの情報を中心としたお役立ち情報をお届けします。

2022年07月

国家のデータもクラウド化~オンラインストレージの活用~<前編>

2022年2月、ロシアのウクライナへの武力侵攻が始まりました。以降、現在も戦争状態が続いています。
日本ではなかなか実感のわかない方も多いかもしれませんが、戦時下ではデータの保全も大きな課題と言えます。金融機関や学校、省庁などは一般家庭とは異なり、膨大な量のデータを保持しており、さらに情報保護の面でも非常に高度なレベルが求められています。
もちろん、そういったところは大規模なサーバーを利用しているので、職員の手元のパソコンが故障、あるいは破壊されたとしてもサーバーのデータには影響はないことがほとんどです。
しかし戦時下となると話が変わってきます。どこがいつ攻撃されるかわからないので、突然サーバーごと破壊されて、重要なデータが失われてしまう危険性が高まります。
■サーバーってなに?
ウクライナ政府は、それまで政府や関係機関のデータは国内のサーバーに保存するよう法律で定めていたのですが、このようなリスクに備え法改正なども含めてデータのクラウド化を推進し、アメリカのAWS(AmazonWebService)社がそれに応じました。
しかし政府機関等が持つデータとなると10PB(ペタバイト)近くの膨大な量になるそうです。ここまで大容量のデータになりますと、空いている時間にアップロードするというわけにはいきません。仮に1PBのデータをネットワークで転送をするだけでも数か月はかかる計算になります。
■いまさら聞けないパソコン基礎知識 > データ容量について
そこでAWSの提供する「Snowball」というサービスを利用し、部分的にオフライン上でデータの転送をすることでクラウドストレージに移行しているそうです。
「AWS Snowball」とは、専用の記憶媒体を郵送し現地でデータを保存したうえで、媒体を返送し、AWSのサーバーにアップロードするというサービスです。今回のウクライナでは、2月から対応をはじめ、戦火の中すでに数PBのデータのクラウド移行に成功したそうです。
■AWS Snowball
AWS Snowballの概要図(AWSのホームページから)
AWS Snowball
次回に続きます。

「動画再生ソフト(アプリ)について」を掲載しました

いまさら聞けないパソコン基礎知識に「動画再生ソフト(アプリ)について」を掲載しました。
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https://www.rescue-center.jp/elementary/vol72.html

SDExpressとCFExpress

現在最も普及しているメモリカードはSDカードになりますが、最新の上位モデルのカメラではCFExpressカードを採用している機種が発売されています。 今回はSDExpressカードとCFExpressカードついて解説します。
まずCFExpressとは、位置づけ的にはCF(コンパクトフラッシュ)カードの次々世代のメモリカードになります。CFカードの次世代カードにはCFastとXQDの2つがあったのですが、規格が分裂してしまい結局広まることがなかったため、統一のために整備された規格と言えます。
■CompactFlash Association
https://www.compactflash.org/

従来のメモリカードとの大きな違いはその転送速度です。最新のカメラで標準になりつつある8k動画や高解像度のRAW画像になると、どうしてもデータの容量が肥大化してしまい、書き込み速度が追い付かなくなってきました。そこで転送速度の大幅な向上の要求に応えて登場したのがCFExpressカードで、理論値で約2000MB/秒もの高速な転送に対応しています。
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一方SDカードの方は、既存のUHS-II規格では約312MB/秒とCFExpress とは6倍以上の差がついています。SDアソシエーションでもより高速な次世代のSDExpressについて規格の策定、および製品化を進められてきました。
■SD Association
https://www.sdcard.org/

SDExpressのSD8.0仕様ではCFExpressと同じく接続インタフェースにPCIe NVMeインタフェースを採用し、転送速度の最大値は理論値上で3940MB/秒、最大容量は128TBまで対応しています。 ただし、SDExpressはUHS-II(312MB/秒)との後方互換性がないため、SDExpress非対応の機種で使用する場合、転送速度はUSH-I(104MB/秒)の速度となってしまいます。また、UHS-IIの上位規格であるUHS-IIIは、UHS-IIとの後方互換性がありますが、転送速度の最大値は624MB/秒とCFExpressの1/3以下となっています。
 表:SDカードの転送速度
Table of SD card transfer speeds
上記のようにSDExpressのカードは、SDExpress対応の機種以外では現在普及しているUHS-IIタイプのSDカードより転送速度が遅くなってしまいます。その互換性の複雑さもあってか、SDExpress対応のデジタルカメラやビデオカメラはまだ発売されていませんが、SDExpressがこれからどの程度シェアを取り戻せるか楽しみです。
なお、弊社では従来のメモリカードに加えて、今回ご案内した最新世代のメモリカードからのデータ復旧にも対応しておりますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。
■SDカードの復旧事例
https://www.rescue-center.jp/case/mc.html
■その他メディア(CF、QCDなど)の復旧事例
https://www.rescue-center.jp/case/other.html
■対応メディア
https://www.rescue-center.jp/media/

日本データ復旧協会の「データ復旧のガイドライン(案)」

当社も所属している日本データ復旧協会が「データ復旧のガイドライン(案)」を公開しています。

■データ復旧サービスのガイドライン(案)の発表について
お客様が我が国の市場に点在するさまざまなデータ復旧サービスをご利用されようとする際、「復旧率」、「復元率」など(以下、データ復旧率)の表記を用いて高いデータ復旧の成功率を宣伝している広告を目にすることがあります。

ただ、そうした高い数値の復旧率の宣伝文句が実際にデータ復旧サービスを利用してみたときとは全く異なっていて、トラブルが起きることがあります。

こうしたトラブルが起こることを考えると、データ復旧サービスに関わる事業者(以下、事業者)が合理的な根拠なく、また、お客様への十分で分かりやすい説明を事前にすることもなく、復旧サービスの結果を実際に出す前に、固定的な数値、とりわけ80%や90%などといった高いデータ復旧率を表示して宣伝広告することは必ずしも適切ではありません。

当協会は、データ復旧サービスのトラブルをできるだけ防ぐため、本ガイドラインを公に示すものです。

ガイドライン(案)に対し更に改良すべき点、ご意見、ご感想を公募しておりますので、ご協力をいただけましたら幸いです。

■日本データ復旧協会 お問い合わせ
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