2019年05月
最近耳にすることも増えてきたワイヤレス充電について解説します。
ワイヤレス充電とはケーブルを使って直接端子を接続しなくても、ワイヤレス充電器の上に置くだけで充電ができる仕組みのことです。
現在実用化されているワイヤレス充電は主に「電磁誘導」を利用したものになります。
「電磁誘導」を利用した充電では、充電器のコイルに電流を流すと磁界が発生し、その磁界が機器側のコイルに電力を誘導させて充電するという仕組みにより、物理的に接触していなくても充電ができるようになっています。
電磁誘導を使った充電は、20年以上も前から電動歯ブラシやシェーバーで使用されてきました。ただし、当時はまだ電力伝送効率が数%程度しかなく消費電力の大きな機器では採用されていませんでした。また、充電器は専用のものが必要で、例えば電動歯ブラシをシェーバー用の充電器で充電することはできません。
2008年にワイヤレス充電の国際標準規格Qi(チー)が生まれ、2011年頃から製品が市場に出回り、スマートフォンやタブレットで対応した製品が登場します。しかし、初期の充電器は充電速度が遅い、カバーがついていると充電できない、充電しながら操作できないなどのデメリットの方が大きくそれほど広まることはありませんでした。
最近は伝送効率や供給電力が向上して充電時間も短縮化し、2017年にiPhoneでもワイヤレス充電に対応したことで、対応機器も増えてきました。
まだまだ発展途上の技術ですが、将来的にはワイヤレス充電で出来ることが増えていきます。Qi規格は今後、120Wまで供給することが可能となる予定で、そうなればノートパソコンもワイヤレス充電できるようになります。また、現在のワイヤレス充電は接触した状態での充電が必要ですが、数メートルの距離からでも充電できる新たな技術も開発中です。
ワイヤレス充電の関連技術としては、無線充電用の架線が埋め込まれた専用道路を充電しながら走る「オンライン電気自動車」というものもあり、韓国で路線バスとして実用化されています。SF的な未来の話になりますが、人工衛星上で太陽光発電して地球に無線送電するなんてアイデアもあります。
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