データ復旧コラム|データレスキューセンター

データレスキューセンターのスタッフによるデータ復旧コラム。PC、HDD、USBメモリ、SDカードの情報を中心としたお役立ち情報をお届けします。

2015年02月

HDDとクリーンベンチ

花粉の季節が近づいてきました。花粉症の方は毎年大変だと思います。こういうときはクリーンルームなどに逃げ込みたいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。クリーンルームはその名の通り部屋になっている、空気中の浮遊粒子の数を規定値以下に保つための設備です。半導体工場や、手術室、食品工場の一部などでクリーンルームは使用されています。

パソコンで使われるハードディスクは、高速で回転しているプラッタを、ヘッドが読み取る仕組みになっています。このヘッドとプラッタの間には、10ナノメートルという非常にわずかな隙間しかありません。10ナノメートルは1億分の1メートルで、杉花粉は30,000ナノメートルといわれていますから、その1/3,000程度のサイズです。


img_structure01

そのため、目に見えないサイズのホコリが入るだけでも、HDDを壊してしまうことになります。そのため、ハードディスクの製造工場では、浮遊粒子が混入しないようClass100(1立方フィート当たり500ナノメートル以上の粒子数が100個未満)のクリーンな環境が用意されています。

データを復旧する際にハードディスクの開封が必要となることもありますが、その際には製造工場と同じようにクリーンな環境が必要となり、クリーンベンチ等を使用して物理的処置を施すことになります。

クリーンベンチは机サイズの箱型の装置で、フィルターを通して空気を取り入れ、その洗浄された空気を装置内部に送り込み、クリーンベンチ内の空気を常に外に押し出してクリーンな環境を保つようになっています。ハードディスクの復旧だけでなく、細胞や微生物を取り扱うような会社で、埃や雑菌の混入を防ぎ、無菌状態で作業するためにも利用されています。

まさに、花粉症対策にはうってつけなのですが、クリーンベンチには人が入ることはできませんので、あしからず。

ファイルシステムについて

記録媒体にはファイルシステム(フォーマット形式ともいいます)がディスクの先頭部分に書き込まれており、これによってデータの書き込みルールを定義しています。
よく見かける形式としては、FAT32、NTFS、HFS+、XFSがあります。

FAT32は、Windows95などで導入され現在でもSDカードなどの媒体で利用されています。
対応するOSや機器が多く互換性が高いという特徴を持ちます。その反面、扱える最大サイズが4GBまでとなっており大容量のデータは扱えません。また、2TBまでの媒体にしか使えず、3TB以上のHDDでは領域を分割する必要があります。

NTFSはWindowsNTやWindowsXP以降の標準ファイルシステムで、最近のWindowsの内蔵HDDやSSDはこの形式でフォーマットされます。
FAT32で欠点だった、ファイルサイズ、ドライブサイズに実質的に制限がないことが長所としてあります。ただし、仕様が公開されていないためWindows以外での使用がほぼ困難で、互換性に問題が出る可能性があります。

HFS+は、MacOSX等で使用されるApple社機器の標準ファイルシステムです。
特殊なソフトを使えば、Windowsでも読むことはでますが、ほぼApple社製品のみなので互換性に問題があります。

XFSは、Linuxなどに使用されるファイルシステムで、家庭用としてはネットワークHDD(NAS)などで使用されている場合が多いです。
データの保持の信頼性が高いという利点がありますが、Linux以外ではほぼ読み取りができず互換性に問題があります。

ファイルシステムについてはデータレスキューセンターのサイト上でも詳しく解説しています。

img_filesystem01

いずれのファイルシステムでも問題が発生すると、初期化を促されることがありますが、初期化すると元に入っていたデータの情報も消えてしまうことになります。
弊社ではそういった媒体でも、データ復旧に対応しておりますので初期化を行う前にまず一度弊社にご相談ください。

パソコン内蔵HDDのデータ復旧をご依頼いただいた大陽日酸様の声を公開

起動しなくなったパソコン内蔵HDDのデータ復旧をご依頼いただいた大陽日酸様の声を公開しました。
キャプチャ
https://www.rescue-center.jp/customer/taiyo.html

RAIDのメリットとデメリット

今回は、複数のHDDを一つの記憶領域として運用する「RAID(レイド)」に関するお話です。
RAIDとは、複数のHDDを組み合わせ、大容量化、冗長性を確保する事を目的として考案されたものです。RAIDには様々な種類があり、それぞれに特徴があります。RAIDに関する詳しい情報は、弊社HP上でもご紹介しているのでご覧ください。
「RAIDについて」

企業などで運用されることの多かったRAIDですが、最近では家電量販店などでも販売されるモデルが増えており、一般的なご家庭でも手軽に利用できるものになってきています。弊社でも、個人のお客様からRAIDに関するお問い合わせを頂くことが増えてきています。通常のHDDとはデータの保持方法が大きく異なるため、通常のHDDと比べてデータ復旧の難度は高くなります。
img_type02


RAIDの場合、1台のHDDが突然故障してしまっても、その他のHDDが正常に動作していればそのまま運用が出来るという特徴があります(RAID0の場合を除く)。しかし、故障に気付かないまま、残りのHDDにも障害が発生してしまうと、復旧はより難しくなります。
また、HDD自体に異常が無くとも、何かのきっかけでRAID情報が壊れてしまい、あったはずのデータが見られなくなることもあります。RAID情報が崩壊した時に、自動的に再構築(リビルド)する機能が搭載されているものもありますが、リビルド機能が正常に働かないことは珍しくありません。もちろん、データを誤って削除してしまった場合は、一般的なHDDと同様にデータは失われてしまいます。このように、RAID環境を使用していればデータは絶対に守られるというものではなく、適切な管理・運用を行わなければ、有事の際の復旧は一般的な単体のHDDよりも難しくなることがほとんどです。

バックアップは一か所だけにデータを保存しておくのではなく、同じデータが常に二か所以上に存在するよう運用するのが理想的です。片方の媒体に異常が生じた場合に、もう片方の媒体から必要なデータを取り戻せる環境になっていなければ意味がありません。RAID構成のHDDを利用していればバックアップは不要、といったようなことはないので、最低限必要なデータはPC本体や別のHDDに保存されるようお勧めします。
万が一RAID環境でのデータ復旧が必要になった場合は、弊社に一度ご相談ください。弊社では複雑な構成のRAID環境からの復旧事例が多数ございます。HPにはRAID環境の復旧事例も掲載していますのでご覧ください。

「個人でデータ復旧を行う場合の危険性」を公開

初心者窓口の新コンテンツ「個人でデータ復旧を行う場合の危険性」を公開しました。