花粉の季節が近づいてきました。花粉症の方は毎年大変だと思います。こういうときはクリーンルームなどに逃げ込みたいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。クリーンルームはその名の通り部屋になっている、空気中の浮遊粒子の数を規定値以下に保つための設備です。半導体工場や、手術室、食品工場の一部などでクリーンルームは使用されています。
パソコンで使われるハードディスクは、高速で回転しているプラッタを、ヘッドが読み取る仕組みになっています。このヘッドとプラッタの間には、10ナノメートルという非常にわずかな隙間しかありません。10ナノメートルは1億分の1メートルで、杉花粉は30,000ナノメートルといわれていますから、その1/3,000程度のサイズです。
そのため、目に見えないサイズのホコリが入るだけでも、HDDを壊してしまうことになります。そのため、ハードディスクの製造工場では、浮遊粒子が混入しないようClass100(1立方フィート当たり500ナノメートル以上の粒子数が100個未満)のクリーンな環境が用意されています。
データを復旧する際にハードディスクの開封が必要となることもありますが、その際には製造工場と同じようにクリーンな環境が必要となり、クリーンベンチ等を使用して物理的処置を施すことになります。
クリーンベンチは机サイズの箱型の装置で、フィルターを通して空気を取り入れ、その洗浄された空気を装置内部に送り込み、クリーンベンチ内の空気を常に外に押し出してクリーンな環境を保つようになっています。ハードディスクの復旧だけでなく、細胞や微生物を取り扱うような会社で、埃や雑菌の混入を防ぎ、無菌状態で作業するためにも利用されています。
まさに、花粉症対策にはうってつけなのですが、クリーンベンチには人が入ることはできませんので、あしからず。