コインハイブを利用し「不正指令電磁的記録に関する罪」に問われた男性の裁判で、無罪判決が出ました。コインハイブは、ホームページ上に埋め込まれた仮想通貨採掘プログラムを閲覧者のPCで実行し、ホームページ作成者の収益とするものです。このコインハイブの設置に対して警察が男性を摘発し、略式の罰金命令を不服として正式裁判となっていました。他にも摘発された方が複数いて、そちらは裁判を起こさずに略式命令を受け入れて罰金を支払っています。
裁判に至る経緯や結果に関しては下記をご参照ください。
コインハイブ事件、経緯総まとめ 「ウイルス罪」相次ぐ摘発に萎縮も
コインハイブ事件で無罪判決 弁護人「警察の暴走、食い止められることを願う」
仮想通貨マイニング(Coinhive)で家宅捜索を受けた話
※coinhiveは3月8日にサービスを終了しています
同様にサイトにアクセスしたときに警告画面が出て、閉じても同じ警告画面が出る「無限アラート」が仕込まれたページのアドレスを掲示板に貼り付けたとして、女子高生を含む複数の人物に対する家宅捜索が行われています。
「無限アラート」で女子中学生を補導、「リンク貼り付け」で摘発をどう考えるか
どちらの事件も「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律」の「不正指令電磁的記録に関する罪」に該当するとされています。
いわゆるコンピュータ・ウイルスに関する罪について
この法律は2011年に施行され、当初から要件が曖昧で恣意的な運用をされてしまうのではないかと懸念されていましたが、現実のものとなりました。
「コインハイブ」の利用は裁判での結果が出たように違法行為ではなく、「無限アラート」に関してはウイルスではなく、ジョークプログラムに該当する類のものです。
「コインハイブ」は新しい技術ですが、「無限アラート」は使い古されたプログラムに過ぎません。
閲覧者のPCに対して不正に情報を入手したり、破壊したりすることもありません。ブラウザのタブを閉じればプログラムは停止します。
この内容で摘発を受けてしまうのであれば、どういったサイトでも摘発される可能性があり、さらにコインハイブ事件のように強引な捜査を受けてしまう可能性があります。
以前であればそんなに無茶なことはされないだろうと思えていましたが、そう高をくくっていられる状況ではなくなりました。
「不正指令電磁的記録に関する罪」に関してはしっかりと議論したうえで、慎重に運用をされることを願います。